第30章 アメリカーー過去編ーー
ーー如月家 ホールーー
「聖知を返してください。」
「やっと戻ってきたと思ったら…第一声がソレなの…?」
「お母さんがやろうとしていることは…私と同じことでしょ!?私は…あの子には自分と同じような生活なんてさせたくないの…だからここにも来なかった…返してッ!」
「口を慎みなさい!誰がここまで完璧に育てたと思っているの……聖知は私の孫よ……少し遅れたけど今からでもきちんと教養をつければまだ間に合うわ……如月家の跡取りとして私が育てます…貴女はもういいでしょう?…好きな男と結婚できたんだから…」
聖知の母である澄香は聖知がいないことにすぐに気がつき如月家の屋敷へと足を運ぶと自分の母親である紅羽を睨みつける。
澄香は英才教育を施すために屋敷にずっと隔離されてきた事を自分の娘である聖知にも紅羽は必ず行う確証があると思い如月家には近づかなかった。
紅羽から聖知を取り上げられて同じように育てると告げられ強引に屋敷に入ろうとすると紅羽の側近から侵入を拒まれる。
「如月家と関係のない者を入れるわけにはいかないわ。」
「こんなの犯罪じゃないッ」
「なら訴えてみれば……そんなのすぐに揉み消せれるけど…」
紅羽はそれだけ伝えると娘をホールで1人残して聖知のいる部屋へと向かう。明日からの英才教育の準備のため、聖知を自分に服従させるために。
「さて……聖知…いらっしゃい…今日から貴方にはやってもらうことが山のようにあるんだから……」
「ッ…お母さんはッ…!」
「甘えるんじゃないのッ…貴女は私の言われたことを聞いていればいいのよ!私の言うことはただ返事だけしなさい!」
再び祖母が部屋に入ってくると手を引っ張るように部屋から連れ出され反抗するたびに頬を叩かれる。
その日から私は好きでもない勉強や知識を叩き込まれる。
如月家に来て2日たったある日の早朝、私の父である水瀬瑛一が如月家の屋敷へと乗り込んできた。