第30章 アメリカーー過去編ーー
「聖知…久しぶりね…」
「あの……ここ…どこ…ですか…?」
「今日から貴女の家はここ。もう学校にも行かなくていいし…ここで暮らしなさい。」
「あの…帰りたい…ッ…」
「…暮らしなさいと言っているでしょ…返事をしなさい…」
「…は…い…」
「桐生…今日から貴方が面倒を見なさい。」
「かしこまりました。」
祖母は私を見下ろすと威圧的な目でこの屋敷で暮らすよう言い放つ。訳がわかず子供ながらに帰りたいと言うと頬を叩かれる。祖母の威圧的な目に逆らう事に対して恐怖を感じ小さく返事をすると桐生と呼ばれる燕尾服を着た知らない男の人が現れる。
「紅羽様…澄香様がお見えです…」
「思ったより早かったわね…桐生…後を頼むわよ…」
「はい…」
祖母は知らない男の人に伝えるとその座敷牢から出ていき知らない男の人と2人だけになる。
「初めまして…私、桐生と申します…今日からお嬢様の専属執事としてお世話させていただきます。何なりとご命令を…」
「ッ…家に…帰りたいッ…」
「おや…先ほどここに住むと返事されていませんでしたか?」
「ッ……だって…ッ…」
「……はぁ……めんどくさいですね……いいですか…私…うるさいガキは嫌いなので単刀直入に言いますね…?…貴方はこの家から出れません。大人しく従う方がお嬢様のためですよ…痛いのは嫌でしょう…?」
桐生と呼ばれるその人は私の前で跪くとニコッと微笑んでいて挨拶をする。
私が帰りたいと言いながら泣き出すとため息をついて私の頭を撫でて笑ってはいても冷たい視線で私を見つめる。
子供ながらにわかった…この屋敷には私の味方など誰もいないと……