第29章 喧嘩
「………」
ベンチに座っても聖知はずっと泣いていて…自分が泣かせてしまった手前、罪悪感にかられるが…まず…謝ることが先だと思い意を決して話しかけた。
冷静に話すと聖知も少しずつ話をしてくれお互いに今思っていることをぶつけ合う事ができた。
俺は聖知と話が出来ない間…勉強にも集中できねえ…練習でもミスばっか連発して監督には怒鳴られっぱなし…それくらい話せないことが不安を感じていた。
拒絶されたことで…俺の事をまだ怒っているんじゃないかと感じ恐る恐る拒絶されないか心配しながらも手を優しく握ると思ってもいない返事が返ってきた。
「私…正直……もう嫌われてるって…思ってました……次話したら……別れるって……言われたら……どうしようって…」
……は……?
嫌うわけないだろッ……何年想い続けてたと思ってんだ…
今までの…俺の態度が…そう思わせてたってことだよな…
「…嫌うわけないだろッ……そこまで悩ませてたんだな……悪い……聖知……好きだ……俺は…別れるつもりなんてねえし…もう離す気もねえよ……」
俺は聖知が言い終わる前に強く抱きしめ、そんな不安をかき消したいと思い優しく話すと泣き腫らしてる目の涙を拭っても次から溢れてくる涙にまた罪悪感を感じる。
「ッ……本当にッ…嫌ってないですかッ……私ッ…」
「当たり前だろッ…俺は、別れるって言われても別れねえよ……だから…もう泣くなよ…ずっとほったらかしにして悪かった…」
1週間も話さず、ずっと不安にさせてしまっていたのがよくわかった。
俺は安心させるように言い、どうしたら泣き止んでくれるか困惑しながらも子供をあやすように背中を摩ったり頭を撫でたりするとだんだん涙が止まっていくのを見て安堵した。