第29章 喧嘩
ーー笠松視点ーー
マンションを出てから色んな場所を探し回った。
探しまわりながら電話をかけるが折り返しもなく全く繋がらない。
また、電話に出れない状況じゃねえのか…1人にした事で危ない目にあわせてねえか…考えても嫌な予感しか思いつかず河川敷まで探したが見つからない。
どこにいるんだよッ……
頼むからッ…無事でいてくれッ……
俺は前に聖知と行った海まで探しにいったが誰もいなく見つからなかった。
時間はもうすぐ20時になり、一旦聖知のマンションに行ってみようか思ったがもう1箇所探してないことに気がついた。
聖知と喧嘩別れした公園で夜のせいか人は見当たらず出ようと思ったがふとブランコに乗っている聖知を見つけ、ちょうど帰ろうとしている所で、俺は近づき咄嗟に腕を掴み引き止めた。
他にもっと優しい言葉をかけれたはずなのに…
俺はつい…頭に血が昇り怒鳴ってしまった。
「この馬鹿ッ…こんな夜遅い時間まで何やってんだよッ…危ねえだろうがッ…!」
気づいた頃にはもう遅く、聖知は目に涙を溜めて泣き出してしまった。
「ッ……!……わ…悪いッ…言いすぎた……ッ…」
すぐに謝って聖知に触れようとすると初めて手を払いのけられ自分でも拒絶されてショックだったのかしばらく思考が停止していた。
「ッ…今から…帰ろうと…思ってた所です……それじゃあ……」
俺が勢いで放った言葉に背を向けても泣いているのがわかり、言い終わると公園を出て行こうとしていた。
咄嗟に、朝森山に言われた言葉が頭をよぎる。
「俺が言うのもなんだが…長引いたら修復できなくなるぞ…」
このまま帰ってしまったら…本当に取り返しがつかなくなると思い、やり方があってるかわからねえが…後ろから腕を強く引き寄せて聖知を抱きしめた。
「…怒鳴って…悪かった……話がしたくて…聖知のマンションに行っても…いないからずっと探してた…ッ……泣くなよ……す…少し…話…しないか……」
拒絶されないか心配だったが、聖知はずっと泣いていて、こんどは優しく声をかけると前座ったベンチに一緒に座ってくれた。