第29章 喧嘩
「ぁ……ごめんなさい……本当に…大丈夫なので……」
「……いつもそうだな…大丈夫って言って…ごまかして…1人で背負って…俺にも言えねえ事か…?」
「……だから……違うって言ってるじゃないですかッ…」
「…違わねえだろッ…何で隠すんだよッ!」
私はすぐに我に返り苦笑いして謝ると笠松先輩は、私を真剣な表情で見て私が何かを隠してるのを見抜いていて、私が視線をそらすと私の腕を強く掴み声を荒げる。
「ッ…隠してなんか……」
「隠してるだろッ………俺…そんなに……信用……ねえのかよ…」
「ちがッ…そんなんじゃッ……」
「じゃあ…話せよッ……俺は力になるって言っただろッ…」
「ッ…………」
笠松先輩と私の間に沈黙がしばらく流れる。
沈黙を破るように笠松先輩は私の腕を離してため息をつく。
「わかった……もういい……」
「…………」
「俺の事…信用してねえ事が…よくわかった……好きにしろよ……」
「ッちが……ッ…」
笠松先輩はベンチから立ち上がり私にそう言うと背を向けて私の制止も聞かずに公園から出て行ってしまった。
笠松先輩を……本気で怒らせてしまった……
いつも私を真剣な表情で見る目は私を睨みつけるように怒っていて…
今日だって…私のために…時間を取ってくれたのに……
完全に…嫌われちゃったのかな……
私は自分が話せば喧嘩にもならなかった、笠松先輩に嫌われてしまったと思い涙を流して笠松先輩とは違う公園の入り口から出て行った。