第28章 練習試合
ーー笠松視点ーー
試合は引き分け……いや…負けても勝ってもおかしくねえ試合だった。
油断とあの1年コンビの連携に対応が思ったよりできていなかったのもあるが…やっぱりまだまだ締めていかねえといけねえな…
試合が終わると片付けをしている聖知に火神が近づいて何か話をしている声が聞こえた。
俺は、また火神が変なことしねえか様子を見ていると…聞こえてきた話から2人は本当に知り合いのようだった。
ただ…普通懐かしい友人に会ったら普通懐かしむものだと思ったが…
聖知はあんまり喜んでる様子ではないように見える。
「…じゃあ…今度会う時は公式戦だね……頑張ってね、タイガ君」
「ちょっと待てって……なんで……途中から…来なくなったんだよ……。毎日あんなに来てたのに……」
「………さあ……なんでだったけ……」
2人のやりとりを見ていると聖知が最後の言葉を苦笑いで答え火神から背を向けると泣きそうな表情をしているのを見た。
誠凛を送り出す時も、黒子と話しているのを見ていたが…
明らかに無理しているのがわかった…
火神と話してから様子がおかしいことが分かったが…
特に火神から何か変なこと言われている様子もなかった……
誠凛を見送り終わるとその日は早々に部活が終わり俺は聖知の様子を見て話しかけた。
「聖知…早いが一緒に帰らねえか?」
「え…今日は…自主練はいいんですか…?」
「あぁ…今日はいいんだよ…ちょっと行きたい所あるから付き合ってくれ…」
「はい…分かりました…」
話しかけながら聖知はやっぱりどことなく元気がないように見えて、俺は自主練で残るメンバーに挨拶をして体育館を出た。
ーー笠松視点終了ーー