第28章 練習試合
「ッ……」
「お嬢様ッ…⁉︎」
「悪いッ…大丈夫かッ…」
私はモロに顔面にあたりそのまま気絶してしまったようだ。桐生の声ともう1人赤い髪の少年が駆け寄ってきて声が聞こえたような気がした。
それから…桐生の反対を押し切りストバスに散歩に行くようになり赤い髪の少年と話すことが増えた。名前はたしかタイガという。
ーー過去編終了ーー
「……もしかして……バ…バスケットボールを顔面にぶつけて失神させた時の……タイガ君……?」
「なんだ…覚えてんじゃねーか!…そうだよ…あれから中学2までアメリカいて日本に帰国したんだよ。」
「いや……よく私の事覚えてたね…。変わりすぎてて小3って聞かないとわからなかったよ…」
「俺もうろ覚えだったけどな。だって…タツヤが…おッ…ッ…な…なんでもねえッ…」
「???…じゃあ…今度会う時は公式戦だね……頑張ってね、タイガ君」
「ちょっと待てって……なんで……途中から…来なくなったんだよ……。毎日あんなに来てたのに……」
「………さあ……なんでだったけ……」
ふと記憶の中で赤い髪の少年が火神と重なり恐る恐る聞くとやはり本人だった。あの時の少年と今の火神君では身長差が違い過ぎて子供の頃の記憶は曖昧だったのとやっとの事で思い出した。
火神君は、最後にストバスに来なかった理由を聞いたけど…私は忘れたフリをして片付けへと戻った。
しばらくアメリカでのことは忘れていたのに……
どうして…こんなに…鮮明に思い出すのだろう……