第28章 練習試合
ーー翌朝 5時ーー
「……涼太…?」
朝練に行くために部屋を出てマンションを出ると涼太が待っていた。
「…あ…聖知っち…一緒に行かないっすか?」
「…うん…」
まさか、待っているとは思わなくて一緒に学校まで歩いて行く。
昨日までとは違いよそよそしい態度はなくなり、どこかスッキリしたような感じに見える。
「聖知っち…俺…昨日……ごめんッ……屋上で聖知っちから話聞いて…聖知っちの前では割り切った態度とってたんすけど……俺の中では割り切れてなくて…昨日…冷たい態度取っちゃって……」
「うん、別に気にしてないよ。」
「え…気づいて…たんすか…?」
「え…気づくよ……でも…昨日私がいきなり話したんだからしょうがないことだし…涼太が私と距離あけるのも当然のことだと思ってるから、気にしてないよ。」
「え…ちょ…そ…そう言うことじゃなくて…俺……聖知っちに振られても…全然諦め切れてなくてどうやったら振り向いてもらえるか…考えてて…そんな時に黒子っちに会ったんすよ…」
「テツ君に…?」
「黒子っちが中1の時聖知っちに告白した話聞いて…黒子っちが…聖知っちのことを一番に考えてくださいっていうのがわからなくて………でも…俺…わかったっすよ…」
「…………」
「俺…聖知っちには笑っていて欲しい…。屋上で見た聖知っちの幸せそうな顔は笠松先輩がいるからこそなんだと思って……。笠松先輩なら…きっと幸せにしてくれるって……だから…失恋したのは辛いっすけど…この事で聖知っちとの関係が壊れるのは嫌だし…気にしてほしくない…悲しんでほしくない。俺は、幼馴染として力になりたいって…」
「…涼太……わかってくれて…ありがとう…涼太のことは大切な幼馴染として私も付き合っていきたいと思ってるよ。」
テツ君に告白された時のことを思い出した。あの時は自分のことで精一杯で恋愛なんて考える余裕もなかった。テツ君がうまく涼太に助言してくれて安堵すると同時に大切な幼馴染としての関係性が壊れずに済んで良かったと思った。