第26章 失恋
「で…?」
「え…?」
「え…ではありません。
さっきからぐちぐち悩んで黄瀬君らしくないです。
黄瀬君はどうしたいんですか。」
「しょうがないじゃないっすか…初めての失恋だし……
相手は俺も尊敬している先輩だし…」
「ぐちぐち言わないでください、鬱陶しいです。」
「黒子っち…慰めてくれてもいいじゃないっすか…!」
「…1つ…黄瀬君に話したいことがあります。
僕…実は中1の時…聖知さんに告白したことがあるんです。」
「え……」
「当時…同じ読書好きということで図書室で会うことがあり、バスケ部でも同じ部活で話が弾んで好意を持つようになりました。ちなみに初恋です。僕の方から聖知さんに告白したら聖知さんに言われました。「私は誰とも付き合うつもりはない」と……。正直かなり凹みました……でも…当時聖知さんはどこか…心ここに在らずというか…何か…僕のわからない問題を抱えているかのように見えました……。だから……聖知さんが高校で好きな人ができて付き合うようになったっていうのは、すごく嬉しいです。」
「黒子っち……何で嬉しいんすか……」
「黄瀬くん…僕は確かに聖知さんのことが好きでした。振られた時は悲しかったけど、今は聖知さんが幸せになってくれることを願っています。だから友人として聖知さんの力になりたいと思っています。黄瀬君はそうじゃないんですか…?」
「…………そりゃ…そうっすけど……」
「黄瀬君…振られてすぐには難しいですけど…自分がというより聖知さんのことを一番に考えてみてください。」
「黒子っちは…もう聖知っちのことは割り切ってるんすか…?」
「はい、今は聖知さんが幸せになることを願っています。」
俺は黒子っちからの話を聞いて驚いた。
黒子っちが聖知っちに告白しているなんて…知らなかったし…
聖知っちのことは幼馴染として力になりたいと思ってはいる。
聖知っちのことは1番に考えるって…なんすか……
そんなの…いつも考えてる……
俺は黒子っちの言っている意味がわからないままお礼を伝えるとその場を後にした。