第25章 調査と報告
ーー如月家 屋敷 執事室 21:00ーー
「紅羽様。桐生でございます。ご連絡が遅くなり申し訳ございません。」
「調査の結果は。」
「はい。お嬢様の通う高校へ調査して参りました。
その調査の結果、お嬢様の周囲には…」
ニューヨークにいる紅羽様に調査報告のため電話を掛けると、すぐに紅羽様に繋がり言葉を繋いでいき、次の一言を告げる前に口元を吊り上げる。
「紅羽様が心配するような男性は
お嬢様の周囲にはいらっしゃいませんでした。」
「一番親しい身近な方で黄瀬様がいらっしゃいますが…お嬢様は相手にされていないご様子でしたのでご心配は不要かと。」
「そう…なら…いいわ………念の為、今日から、聖知の動向に注意して監視しなさい。毎月の聖知の調査報告も貴方に任せるわ。」
「……私が…ですか…?」
「調査員は全てクビにしたから。貴方なら簡単でしょ。ただし、何かあれば些細なことでもいいからすぐに報告しなさい。頼むわよ。」
「…かしこまりました。」
紅羽様からの電話が切電されると受話器を置いて頭を抱える。
「めんどくさいですね…………
……またお嬢様のお守りですか……」
深々とため息をつくと執事室にしまっていた笠松様の資料を取り出す。
なぜ…報告しなかったか……
なぜでしょう……
少し……興味があるからでしょうか……
お嬢様が初めて心を許せるお方……
しばらくは…お二人のご様子を見させていただきましょう……
笠松様の資料を暖炉の炎の中へと投げ込み、クスッと笑うと席へと座り仕事を始める。
「笠松様……
雛鳥が…自由を手にできるか
拝見させていただきますね…」
ーー桐生視点終了ーー