第25章 調査と報告
「5年もたってたら雛鳥じゃなくて成鳥なんでは…」
「……まあ…細かいことはいいじゃないですか…
笠松君の回答を教えてください…」
「…その雛鳥は…自由になりたいから逃げたんなら
外の世界で自由に生きたらいいと俺は思いますけど」
「……どうしてそう思うのですか?
ずっと鳥籠の中で暮らしていたんですよ…?
全悪の判別すらつかないし…
天敵にもすぐに捕まる可能性だってありますよ?」
「確かに…でも…籠の中でずっと何もしないより、
外の世界で自由に生きる方が…
楽しいし…幸せだと思いますけど…
最初は、1人でも…
次第に仲間ができて籠の中よりも…
外の世界で自由に生きる方が雛鳥にとっては…
生きてるって実感を感じられるんじゃないかと…
先生は雛鳥を閉じ込めるって言ってましたけど…
それって…雛鳥の気持ちを…
無視してるんじゃないですか……
雛鳥のことを考えるんなら…
もっと自由にしてあげるべきだと……
って……何の話なんですか…これ…」
「…………なるほど……
……お嬢様が好きになるはずですね……」
「…?おじょ…?」
「いえ…こちらの話です…とても参考になりました。笠松君、ありがとうございます。」
私が思った以上に素敵な方だったようですね…笠松様は……
授業態度は真面目…目上の者に対する態度…
尚且つ…この方なら…お嬢様の事をお任せしたい
気持ちも出てきてしまいました…………が…
やはり……このままにしておくとはできませんね……
日が浅いうちにさよならしていただかなくては…
お嬢様には恨まれますが……
……これがお嬢様のためです……
私は、今日の臨時教師のミッションが終わったら紅羽様に報告とお嬢様のアメリカ帰国の手配をしようと頭の中で考えていている最中に聞き慣れた声が耳に入ってきた。
「わぁ…涼しい…しかも誰もいないのって珍しい…」
「いつも誰かいるはずっすよね…貸切みたいっすね…」
屋上にお嬢様と黄瀬様が入ってきてここでお嬢様に会うわけにはいかず私は急いで死角となる場所まで隠れた。
ーー桐生視点終了ーー