第25章 調査と報告
ーー桐生視点ーー
「なるほど……さすが強豪と言われるだけはありますね……」
海常高校に到着すると燕尾服では目立つため教師の服装に着替えて校内へと侵入する。
体育館をチラッと見ると誰もいない体育館で笠松様1人シュートの練習をしているのがうかがえた。その様子を見ていると懐かしい聞き覚えのある声が耳に入ってくる。
「話って……それって……いい話っすか?……悪い話っすか…」
「……お昼話すから…屋上に来て…」
「……わかったっす……」
…お嬢様…?
……ずいぶんと朝早いですね……
それに……あの方は…たしか…黄瀬様……?
ここにいるということは……
嫌な予感がしますね……
咄嗟に建物の影に隠れるとお嬢様と黄瀬様が話ながらこちらに近づいてくるのが見える。お嬢様が早朝の時間に学校にいることに1つのある考えが浮かぶ。
しばらく、隠れていると制服の上からパーカー姿でバスケ部の部室から出てくるお嬢様の姿を見て私は頭を抱える。
やはり……そうでしたか……
財閥の令嬢であるお嬢様が…
あまり褒められた格好ではありませんね……
「ぁ…お…おはようございます…//」
「ッ…お…おう…//は…早いな…//」
体育館に向かうお嬢様と笠松様がちょうど鉢合わせしてお互いに顔を赤らめているのがうかがえる。
どうやら……お互いに相思相愛といったところでしょうか…
私の記憶では、お嬢様の近くには黄瀬様しかいないと思っていましたが……
少し揺さぶりをかけてみましょうか……
2人の様子を見てお互いに想いあっていると感じその場を離れて海常高校の職員室へと向かった。
ーー桐生視点終了ーー