第21章 初デート 後編※
……誰も気づいていない…
花宮が隠れている場所を通り過ぎ、拘束されている水瀬が通り過ぎようとしたその瞬間…
「…こんな事だろうと思ったぜ……」
俺は水瀬の腕を掴み強く引き寄せて仲間の1人から奪い返した。
突然の奇襲に仲間の1人は反応できず俺が水瀬を強く引き寄せたことで手から離れた。
俺は水瀬を2度と離したくなく肩まで手を回して抱きしめた。
水瀬は状況がわかっていなくて不安そうな声で俺を呼ぶ。
「…笠松…先輩…?」
「遅くなって悪かった…もう大丈夫だ。」
本当は…見つけたら直ぐにでも奪い返したかったが…
水瀬が泣いているのを見ると、自分が1人にさせてしまった責任を感じ黙って抱きしめた。
水瀬を抱きしめていると身体が震えていて、さっきみた光景よりも、俺がいない間に…ひどいことをされたと水瀬の様子から見てもよくわかる。
許せねえ…ッ……!
より一層ギュッと抱きしめると俺は花宮にこれ以上水瀬を近づけたくなくて水瀬を後ろに隠した。
「おい、毎度毎度邪魔ばっかりしやがって……なんて言うわけねぇだろバァカ。お前が来るなんて想定済なんだよ…3人相手に逃げられれると思ってんのか?」
花宮ッ……どこまでも卑劣なクソ野郎だッ…
そんな卑怯な奴にッ……!
俺は怒りで拳を強く握りしめて今にも殴り倒したくなる相手を前に睨みつけた。まずはこいつから逃げて撒くのが先だ。
花宮にはイラつくがなんとか気持ちを押し殺して先に水瀬を走らせてから後を追いかけるように走り出した。