第21章 初デート 後編※
「…おい…逃すなよ。」
「いやぁ…花宮…すげえ鬼畜ぶり…いつも1人で遊んでんの?」
「ハッ…こんなの遊んでるうちにはいらねえよ…」
「どうすんだよ…花宮…もうすぐここ探しにくるぞ…」
「見つからねえよ…笠松が違う場所に探しに行った時点で移動する。こんな所より…誰もいない…静かな場所に行かねえと…楽しめないからな…」
花宮が路地から死角となる場所まで連れてくると再び私を押さえていた仲間の1人に突き飛ばすように渡すと再び声が出せないように口を押さえられて動けないように押さえられる。
「ッ…!」
(ッ…嫌ッ…あの時とッ…おんなじッ…)
花宮は獣が狩りをする時のような目で私を見ていた。
その目は全中に襲われた時や廃ビルに連れ込まれた時と同じ目をしていて私は、その時の光景がフラッシュバックするように恐怖に包まれてしまった。
「ッ…んんッ…ッ」
「あれ…どうしたの?…何か急に暴れ出してるけど…」
私は笠松先輩が近くにいると思いなんとか気づいてもらおうと思いくぐもった声でも捕らえられている手から逃れようと抵抗した。
「んんッ…ッ…」
「無理だって…逃げられるわけないのに…そんなに暴れてると体力もたなくなっちゃうよ?」
抵抗する私を嘲笑うように手の力を強められてビクともせず再び抵抗しようとすると花宮に髪を鷲掴みにされる。
「おい…ウルセェな…無駄な体力使うな。後で3人も相手するんだからよ…」
「ッ…!…ッ…」
花宮が耳元で囁くように言い冷たい冷酷な瞳で私を見つめた。
私は身体が凍りついていくのを感じた…
怖いッ……怖いッ……
泣きたくても…我慢した……泣いても喜ばせるだけッ……
ただ…怖くて震えていた…
「そろそろ行くぞ。」
少したつと花宮の声で引きずられるように歩き出した。
私は、もう抵抗しても無駄に終わると悟り奥の裏路地を抜ける所まできた。