第20章 初デート 前編
ーー笠松視点ーー
楽器屋を出ると聞き慣れた見知った声が聞こえた。
「はぁ……もう見てられないな…」
森山がずっと俺と水瀬の後ろからつけてきて…俺が…ッ…
ッ…水瀬のことを好きだと口を滑らしそうになりやがった…
おまけに勝手に水瀬の手に触れていてッ……
俺だってたまに勝手に繋いでる時あるがッ……
無性に腹が立ってイライラして無理矢理森手を離させ、森山から離れるために水瀬の手を掴んで無意識に適当に歩き回っていた。
水瀬の一言がなければまだ遠くに行ってたかもしれねえ…
店に入ってテーブル席に着くとなぜか森山がまだ後をつけていた。
しかもなんで、水瀬の隣に堂々と座ってんだよッ……
俺の隣で十分だろうがッ……
イライラしながら森山を見ているとメニューを水瀬が見せると森山の方から水瀬にくっついているのを見て我慢の限界で森山を外に連れていった。
「お前な…なんで水瀬の隣に座ってんだよッ…」
「なんだ…ヤキモチか?笠松。」
「うっせえなッ…しかも必要以上に近づきすぎなんだよッ…!」
「いやぁ…いつもの制服姿も可愛いが、私服姿も可愛いくて…特に隣に座って近づいたらすごくいい香りが…「それ以上言うと…マジでシバき倒すぞ。」
「嫉妬はモテないぞ?それにこれ以上は女性を待たせるのもダメだ。」
俺は、森山を呼び出して説教し始めると悪びれる様子もなくヘラヘラしやがる……
眉間にピキピキと怒りマークが浮き出るんじゃないくらい怒っていても相変わらずヘラヘラして森山は店内に戻っていく。