第20章 初デート 前編
ーー笠松視点ーー
つい…触っちまった……
俺はピアノが弾ける水瀬に手を引きピアノの試し弾きコーナ〜に来ると自分が水瀬の手を握りしめてることに顔に熱が集まり慌てて離した。
ていうか…俺…よく…触ってるよな…
今まで思い返すと部活の帰り道とか、家まで送っている時、勝手に手繋いでる気がする……
俺は楽譜を楽しそうに選んでいる水瀬を見ながら水瀬が変な風に思ってないか心配し様子を見ていた。
「あ…じゃあ、これにしようかな。」
水瀬は楽譜板に楽譜を置くと「Amazing Grace」を弾き始めた。
曲を弾いている水瀬を見ているとすごく楽しそうで、いつもの笑顔とは違う…何か上品さというか…綺麗だと感じた…
「水瀬…」
「はい?」
「めちゃくちゃ上手いじゃねーか…全然披露できるレベルだろ。」
「いや…久しぶりに引いたので音とか結構外してましたよ…?」
「そうか…?俺は水瀬がピアノを弾いている時、優しい音色というか綺麗って印象があってよかったと思うぞ。」
「………そういう風に言われたの初めてです。お世辞でも嬉しいです。」
「お世辞なわけねえだろ?もっと自信持てよ…」
「…あ…ありがとうございます…///」
とても音を外しているとか全然わからねえよ…
水瀬は楽譜を閉じると恥ずかしそうに顔を赤らめていた。