第20章 初デート 前編
ーー花宮視点ーー
こうも都合よく会えるとはな…
笠松がいるってことは…やっぱあの女とデキてんのか…
俺は遠くから腕を組みどう遊んでやるか考えていた。
さて…どうやって狩るか…
あ…?…なんだ…あの女……
俺といる時は…恐怖で震えてるくせに…
ずいぶんと楽しそうに笑ってんな…
あの顔見てると…無性ににイライラする…
…やっぱつまんねなぁ…楽しそうにしている女の顔は……
恐怖と絶望でいっぱいにして俺に服従したくなるまで屈服してやる…
俺は舌なめずりをしながら遠くから2人を見て「行くぞ」と山﨑、原に言いその場から離れた。
ーー花宮視点終了ーー
「ッ…!」
「…水瀬、どうした?」
「…え…いえ…なんでもありません…」
私は嫌な悪寒のする視線を感じ振り向くも特に何もなく笠松先輩と歩いて行く。
「わぁ…すごい…」
表通りの楽器屋へ入ると数え切れないくらいの楽器が展示されていた。
笠松先輩と中へ入るとギターが置いている場所まで歩いていく。
「前来た時よりも種類が増えてんな…」
「ギターと言っても種類がすごく多いんですね…笠松先輩はどんなギターを弾くんですか?」
バスケ以外の笠松先輩を見るのは初めてでその場でギターの試し弾きもさせてもらい笠松先輩が弾いている姿を見てとっても楽しいひと時を過ごしていた。
「水瀬も何か弾いてみたらどうだ…?」
「え…いや…披露できるほどではないので…」
「ピアノ弾けるんだろ?せっかく来たんだし…ッ…///」
私は咄嗟に躊躇すると笠松先輩は手を引くとすぐに顔を真っ赤にして慌てて手を離した。
「…??? どうかしました…?」
「い…いや…なんでもねえ…///」
「じゃあ…少しだけ…」
ピアノの試し弾きコーナに来ると近くにあった楽譜を取り曲名を選ぶと「Amazing Grace」のページを開いた。