第19章 決着
ーー黄瀬視点ーー
「なんだ…お前…」
「何で男が来るんだよ…」
「確か…こいつ…モデルの…」
「このまま帰るなら見逃してあげるっすよ…
そうじゃないなら……」
ファンの女共が走って逃げていくと、使われていない小屋から男が複数人出てきた。無造作に金属バットを投げ捨てると目の前の不良男子生徒を威嚇するように不敵に笑む。
ーー海常高校 校外ーー
「はぁ…はぁ…はぁ…」
無事事を済ませると体育館へと走った。
大丈夫だとわかっていても…
聖知っちの安否を確かめないと安心できなかった。
ーー海常高校 バスケ部 体育館ーー
「!?」
「はぁ…ッ…はぁ……はぁ…ッ…」
「りょ…涼太…?」
閉まっていた体育館の扉が勢いよく開いて聖知っちを探した。
音が大きかったせいか。体育館にいる部員は一斉にこっちに注目が集まっている。
聞き慣れた声がすると、扉を開けたすぐ横に驚いた表情を浮かべている聖知っちがいた。
よかった…無事で……
急いできたせいか、安堵して自然と笑みが溢れる…
「先生の話は終わった?」
「…ぇ…先生…?」
「…先生に呼び出されてたんじゃないの…?」
「……え…あ…そ…そう…き…今日提出予定の課題提出忘れてて…
さっきまでこってり絞られてて……」
「……そう…。」
「じゃあ着替えてくるっすね…」
……先生の…話…?
聖知っちの話がよく分からないでいると笠松先輩が視線でコンタクトを取ってきたので何となく察した。
曖昧な説明になってしまって聖知っちを見ると呆れる様子はなく優しい表情を浮かべていた。