第17章 勘違いと真実
ーー黄瀬視点ーー
聖知っちから話を聞いて言葉が…出なかった…
中学の時も高校の時も…そんな仕打ちを受けて…
毎日辛いはずなのに…俺の前では…ずっと笑っていて……
俺はそれに気づくこともせずッ……
笠松先輩が怒っていた理由……今なら…すごくよくわかる……
俺だって聖知っちが目の前で殴られそうになってたら…
俺はファンの子達への怒り、自分が今まで何もできなかった怒り…
好きな女1人も守れない不甲斐なさで俺は拳をギュッと握りしめていた。
「…ごめん……ショック…だよね…ファンの子たちがやってるって知ったら…」
何…言ってるんすか……
ほんと…どこまで…天然なんすか…!
ファンの女の子なんかどうでもいい!!
俺に擦り寄ってくる女なんて…俺なんか見ていないッ…
モデルの黄瀬涼太、キセキの世代の黄瀬涼太…
そんな肩書きばっかりで擦り寄ってくる連中に…!
「もう、2度と聖知っちに辛い思いはさせない…
俺に任せて欲しいっす…」
俺は、聖知っちの手を握りしめながら2度と辛い思いさせないと誓った。聖知っちはそう言うと何か考えているようだったがうなづいてくれた。