第17章 勘違いと真実
ーー海常高校バスケ部 体育館ーー
部活が始まり練習が始まると笠松先輩がそっと近づいてきた。
「水瀬、大丈夫だったか…?」
「あ、はい…先生も笑って許してくれました。」
「そうか…なら心配いらねえな。それと…あの話黄瀬にするけどいいか…?
やっぱり…話はしてた方がいいからな…」
「はい……」
私が先生に事情を話すと日頃の授業態度のおかげか笑って許してくれた。
笠松先輩も同様に怒られずに済んでお互いに安堵していた。
ーー黄瀬視点ーー
「………話…?」
部室で話を聞いてから笠松先輩と聖知っちを交互に見て2人の話し声に耳を傾けた。
やっぱり…2人は一緒だったんすね…
なんで……俺になんの話をするんすか…
まさか…2人は…もう…そういう関係って…ことっすか…
俺は、嫉妬心に駆られて拳を握りしめて唇を噛み締めて2人が会話しているだけでイラつきを覚えてかき消すように練習に集中した。
「っ…」
「涼太…大丈夫!?」
「ちょっと捻ったみたいっすね…」
練習中に足を捻ってしまいなんとか歩けるっすけど…
いつもならこんなヘマはしない…
ハハッ…ッ……情けないっすね…
俺は、聖知っちと笠松先輩のことが頭がいっぱいで気になり練習に全然身が入っていなかった。
「痛めてるかもしれないから…保健室で湿布もらってくるね?」
「えっ…ちょっ…聖知っち…」
俺が呼びかけるも聖知っちは体育館を出て行ってしまった…
「おい、黄瀬、お前今日全然練習に身が入ってないぞ。
とりあえず、今日は見学しとけ。」
…誰のせいだと思ってるんすか……!
俺はイラつきを押さえつつ聖知っちが戻ってくるまで体育館隅で待っていた。
「黄瀬…後で話がある。練習後少し付き合え。」
「………」
笠松先輩は俺の隣に立つと俺にしか聞こえない声で呟くように言い再び練習に戻っていった。