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爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇

第5章 悪意 中國山地


 子珍は少し戸惑う様子で言うべき事を探していた。しかし、一度口をついてしくじると会話のペースは乱れるより他になくなる。まして言葉には不自由しているのだから、尚更だ。

(…別に、北京語で問い質してもいいんだけどね。この場で二三時間)

 三沢は内心、そう思っていた。彼は困った顔をする子珍に愛おしさと一抹の嗜虐心を覚えていたが、落とし所は定めておくべきだと考えていた。

 昔、無邪気故に人の神経を逆撫でする美人な女の子と研修で一緒になった時は落とし所を考えずに欲望に突き動かされるままに言葉の揚げ足を取り、話せば話すほどドツボに嵌るようにした事があったが、結局彼女は泣くに泣いてボロボロになり実家に帰ってしまった。大坂城に呼び出されて和泉御前から大目玉を貰ったのは良いご褒美、もとい苦い経験だ。あの時傍らでニヤニヤしながら自分を値踏みしていた宇喜多様にムカつきながら誓ったのだ。もうあんな真似はしない、と。

 ……周子珍の顔が涙でグシャグシャになりながら、嗚咽(おえつ)交じりに言い訳する様も見てみたいだなんて、露にも思わない。三沢は内心にケリをつけ、落とし所を定めた。

「…まあ、いいや。許少校はBMP-2が入って来ているのをどっかで聞いたのかな?」

「ううん、うん。たぶん」

 「探って来い」、そこまであからさまじゃなくても「それとなく聞いてこい」って所かな。三沢は当たりをつけた。

(何も報せずに「輸入」した事への不審視か、或いは…許少校、人が悪くなったな。穏やかになった分だけ)

 三沢は恐らくあの「日本人」の事だと思った。「アレ」の事は確かに太子党には話してはいない。境港に着いた偽装タンカーとて宇喜多の指示で先日漸く通達したばかりだ。ちょっと煽り過ぎたかもしれない。あくまで許少校達軍事顧問団は太子党の手先であり、詰まらない悶着は避けた方がためになるというものだ。

「正直な所、私では何とも答えられません。申し訳無いんですが」

「そう、そうなの」

 平静を保つためか、相槌が素っ気ない。何というかあからさま過ぎて却って妙だ。

「只もしかしたら」

「うん」

「大坂からこちらへBMP-2が寄越される様な事があるのかもしれない。その訓練用かもしれないですね」

「おお、なるほど」
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