爆乳政治!! 美少女グラビアイドル総理の瀬戸内海戦記☆西海篇
第5章 悪意 中國山地
「益田藤兼と戦った毛利元就って男はとんでもなく恐ろしい男だった。理由はどうあれ、弟を殺し、ある家臣を根絶やしにし、敵の大将を敵の家族や家臣に殺させた挙句自分へ寝返った敵にいちゃもんつけて殺し、家も土地も奪った。それに海賊を従えて航海中の船から金をせしめ、主人を好き放題に鞍替えして山陰陽の王者となった男だ。そんな奴の同盟者は益田と長年戦った吉見って津和野の領主だ。益田は吉見との関係の中で殺される筈だった」
「ツワノの領主はあのカメイだろう?」
「東京に仕えている奴か。あれは元々出雲の男だ。毛利の敵尼子(あまご)氏の家臣だった。地元じゃないのさ。加えて亀井は百年前くらいに貴族の養子をもらった。出雲の血でもない」
「おかしな話だな」
「ヨーロッパ人にはそう思えるだろうな」
延原はそう言ってジーパンのポケットから煙草を取り出した。
「ヤシロは木造だぞ?」
「……大丈夫だ。汗で湿気ている。もうだめだ」
延原はそう言うとまたポケットに煙草を戻した。
「益田が許されたのは元就の息子、吉川元春の口添えがあったからさ」
「キッカワ。そいつはどっかに養子に入ったのか」
「御明察。さっき言ったやり口だ。身内を裏切らせて家を奪った。だが、親父とは違って軍人気質な奴だったようだ。勇敢でもあった益田藤兼を殺したくなかったんだそうだ」
「変わっているな」
「俺や君ならそうだろうな。まあ、よくも悪くもお坊ちゃんだったんだろうか」
「それに対してモウリはあくどい。まるで、ウキタのようだ」
「随分とあけすけにいいやがるな、君。仮にも雇い主だろう?」
延原がそう言うと、ジャルコは今日初めて笑みを浮かべた。
「そうは思わないのか? あれが聖人には見えんだろう?」
「……ぐうの音も出ねぇ」
延原は惚けた顔で肯定をした。
「ウキタはモウリか。確かに凄腕だ。実に軍閥の長らしい」
「ああ。創業家のヤリ手社長とかもそんなもんかもしれん。それに留まりはしないがね。毛利はヨーロッパで言うなら、そうだね…上手く行ったワレンシュタインかな」
「ヴァレンシュタイン(Wallenstein)より余程悪質だ。奴は奸計を用いない」
そうかね? 延原はそう言うと少し唸って考えてから答えを出した。
「他にらしい奴って言えば、スフォルツァ(Sforza)とかかね?」
