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1匹狼な君と

第3章 結ばれる愛し子たち (零side)


すっかり辺りが暗くなり
学院には人気が感じられない
軽音部部室の棺桶を除いて…


「あぁ… よく寝たのう…」


変な夢を見た
幼き日に思い描いた無垢な愛する人は
汚れを知り存在するのか分からなくなった

幼き日に抱いた愛する人を求めて
昼に生きると決めたのに…


来月の4月になれば一年遅れて3年生になる
今は春休み期間中
暖かくなったり寒くなったり
外で寝るには少し億劫な日々だ


夜の庭園を散歩するのが好きだ
静かで誰もいない
そして何より夜なのが良い

いつも通り1人夜の学院のガーデンテラスを歩く
綺麗な花々は美しく咲く

あれ以来牙を抜かれたかのようになり
こんな姿になれ果てた自分…
これから〝朔間零〟はどうなるのか…



ふと、人影が見えた
毎日ここを散歩しているが初めて見た


「おや…? 誰かいるのかえ?」


少しずつ人影に歩み寄る
先生とも思ったりしたが…



そこに居たのは
アイドル科の制服を着ている女の子

どうやらココに迷い込んだらしい
ずっと不安そうな表情をしている

月明かりに照らされた名を知らぬ女の子
顔には長いまつげの影ができ
少し風が吹くと
新品でまだ固い生地のスカートが
綺麗に揺れる



刹那に
名も知らぬ女の子に心を奪われた




その子はキョロキョロと辺りを見渡して
また何処かへ去ってしまった

ああ…
幼き日の自分よ
やっと愛する人を見つけられた…


ーーーーー


4月に入り新学期が始まる
教室に行って真面目に授業を受けるわけでもない
いつものように棺桶に入る


「日の出ているうちは休憩じゃ…」


こんな事をしているのに
学院のありとあらゆる情報は知っている
それによれば
新しくプロデュース科が新設され
唯一の生徒がアイドル科と同じ制服という事
その名は〝あんず〟
恐らくあの時見た少女だろう

龍王戦でわんこが派手に暴れたらしく
女の子を踏みつけたと聞いたが…
まさか…その嬢ちゃんなんて事は…
と思ったが…


ーーーーー
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