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1匹狼な君と

第3章 結ばれる愛し子たち (零side)


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「お兄ちゃんはなんで昼にも活動するようになったの?
夜は好きじゃなくなったの?」


「吸血鬼たるもの夜闇が好だよ。
でも命の短い人間は昼に活動するんだよ。」


まだ幼き凛月がお兄ちゃんに質問をする
零はヴァイオリン
凛月はピアノの練習中に


「お兄ちゃん何言ってるの…?
俺にはよく分からないんだけど…」


「愛するって分かる?凛月
人間を愛するなら昼に活動しないと
逢瀬もできないだろう?」


「じゃあ、お兄ちゃんは人間を愛してるの?」


無垢な凛月は次々に質問をしてくる
美しい兄弟が汚れをしらないからだ


「これから先、愛せる人間が現れた時の為に…」


目を細め無垢な零は美しく微笑む
窓から差し込む月の明が零を照らす
それはとてもとても美しい…吸血鬼を…


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「なぁ晃牙。愛するってなんだと思う?」


何故自分は吸血鬼の身で昼でも生きると決めたのか
幼き日の記憶が蘇る
まるであの時と同じ
月の明が2人だけのガーデンテラスに差し込む

汚れを知った吸血鬼は今も美しいが
もはや無垢ではない

凛月とも不仲になった
現在の夢ノ咲は戦争だ
五奇人と勝手に名付けられ
天祥院という悪が仲間を殺したのだ


「朔間先輩…? 」


晃牙が不思議そうにこちらを見つめる
あの日の凛月を思い出す


「愛する者ができれば…
俺は幸せになれっかって…」


普段ならこんな事は絶対に言わない
晃牙も少し戸惑っているのがわかる


「俺は朔間先輩を世界一カッケーと思っているけど
それは愛してるなのか…?
でも俺はどんな朔間先輩でも付いて行きます…」


いずれ晃牙にも愛する人ができたら
俺のそばにから離れて行くのだろうか

紅い瞳が不安そうに目を細める
戦争中の夢ノ咲に生きる五奇人の親玉を月が照らす
それはとてもとても美しいが…
無垢を失い汚れを知った吸血鬼を…


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