第1章 優しい人 (あんずside)
「俺様はテメ〜に何か伝えたはずなんだけどよぅ…
このまま帰って、
何もナシって事か…
喧嘩でも売ってんのか…♪」
…!
この声は…!!!
「晃牙くん…」
会いたいと思っていた人が
遂に目の前に現れてくれた。
晃牙くんはあの時の衣装のままだ。
「で…
あんずの返事は何なのか
俺様は聞いてもいいんだよな?」
そうだ… 晃牙くんに応えなきゃ…
本人を前にしてドキドキがもう止まらない…
そう、この気持ちにもう嘘はつかない。
向き合うと決めたからーーー
「私も晃牙くんの事…
好きです…」
恥ずかしくて顔から火が出そうだった。
そしたら…
ふわっと温もりに包まれた。
「よかった… もう逃がさねぇ…」
晃牙くんに抱かれながら、
耳元で彼が囁いた。
私も彼の背中に手を回し
ギュッと抱きしめてみた。
たくさんの優しさに溢れている、
〝大神晃牙〟
の早まる胸の鼓動を感じながらーーー
┈┈┈┈┈ 優しい人 end ┈┈┈┈┈┈