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1匹狼な君と

第1章 優しい人 (あんずside)


レオンですか…?」


そりゃそうだ。
UNDEADの泊まり込みも
よくよく考えれば、
レオンがいるから帰ったに違いない。
私を送ってくれたのは、
ただのついでに過ぎないだろうーーー




朔間先輩はずっとニヤニヤしていたが、
レオンと聞いた瞬間、
何かが抜け落ちたような、
そしてとても驚いた顔をこちらに向けていた。

「どうしてじゃ…
なにが転じてそうなったんじゃ…」

先輩の声のトーンが下がってしまった。
そして、今度は違う表情に変わっていった。
効果音を付けるとしたら、シクシク…


「可哀想なわんこよ…
嬢ちゃんはわんこの事どう思っているのかえ?」


私…? レオンじゃない…?


私は晃牙くんと喋るようになってから、
ふと… 期待したこともあった。
ドキドキが止まらない事もあった。
彼の事ばかり考えて集中出来ない時もあった。
でも、

それは違う。

…と心の中でずっと否定し続けていた。
自意識過剰だと。
彼は優しさで接してくれていると。

でも、もし仮に心の否定しなかったら…

私の思っている本当の想いは…



「晃牙くんの事は… 優しい人だと思ってます…

そして、気がついたら、好ーーー」




「それは我輩じゃなくて、
その〝優しい人〟に言ってあげて欲しいぞい♪」

私の口をぽふっと抑えた先輩が言った。
ニヤニヤしていた時とは違う、
幸せそうな顔をしていた。




ああ、そうか…

私は晃牙くんの事を



好きになっていたんだーーーーー



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