第6章 ★世界で一番好きな人/笹谷武仁
「…ごめん。俺、何も考えてなかった。ただ、ずっとそばにいたいって、それだけで」
「ううん。武仁の気持ちはすごく嬉しいよ。ありがとう」
「俺…就職して、さんを養っていけるようになったら…もう一度きちんとプロポーズする。だから、それまで待っていて下さい」
「うん…うん……待ってる。ありがとう、武仁」
ぎゅっと抱き着いてきたさんの背中にそっと手を回す。
そういえばまだお互い裸のままで、しっとりと濡れた体がひっつく感覚がなんともいえなかった。
また、下半身が熱くなってきたけれど。
さんに気付かれたら「雰囲気台無し!」って怒られるような気がして、下半身だけ微妙に引っ付かないように距離をとる。
いつか、貴方に渡せるといい。
銀色に光る、揃いの指輪を。
―世界で一番、貴方の事が好きです。さん。
-Fin-