第3章 Let me share the love with u.
ポッ●ーダンスをすることに決まってからというもの、マネージャーと二口は必死で動画とにらめっこしながら振付を頭に、体に叩き込んだ。
他の部員達にも動画を見て覚えるように指示はしたものの、ダンス未経験の者ばかりで、なかなか踊れる者はいなかった。
マネと二口が何度も繰り返し踊って練習する傍ら、青根はじっとその様子を観察していた。
「おい青根、どうせならお前も一緒にやれよ」
二口に言われるも、青根はふるふると首を横に振る。
何を恥ずかしがっているのか二口にはさらさら分からなかった。
下手くそでもなんでもいいから、やるだけやってくれ、と二口が言うと青根はようやく重い腰をあげた。
「上手くやろうとしなくていいから。とにかく真似をしろ」
こくりと青根が頷いたのを確認して、二口は動画の再生ボタンを押す。
曲が流れだし、二口とマネ二人は体に覚えこませた動きを確認するように踊る。
細かい部分はまだ粗があるものの、三人のダンスはそれなりに見栄えのするものだった。
そんな三人の動きを青根も必死でマネしようとするのだが、見た動きそのままを再現するのは青根にとって非常に難しいことのようだった。
悪戦苦闘する青根に、二口はじっと彼の動きを観察することにした。
何が出来ないのか見極めようと思ったのだが、事態はそんな生易しいものではなさそうだった。
「……おい、青根。お前手と足が一緒に動いてるぞ。あと変に力んでるんじゃね?ロボットみたいになってんぞ……」
青根が必死に踊ろうとしているのは、三人にもよく伝わっていた。
けれど残念なことに、その必死さは全くと言っていいほど報われていなかった。
壊れたロボットのように、関節がガッチガチに固まったまま不自然な動きをする青根に、二口は噴き出しそうになるのを堪えた。
「バレーは俊敏に動けんのにな、お前……」
「……」
自分でもうまく動けないのが分かっているのか、青根は力なくうなだれた。
なんとかマネ二人がフォローに回るも、壊滅的な青根の踊りはどうすることも出来なかった。
「あー、もう、お前はあれな。ラジカセ持つ係な」
「……(コクリ)」
皆と一緒に踊れないことを青根が残念に思ったかどうかは定かではないが、青根は二口の提案を黙って受け入れた。