第3章 Let me share the love with u.
翌日。
昼休みに二口に呼び出されたマネージャーの二人は、お弁当の包みを抱えて二年A組の教室に足を踏み入れた。
「おー、悪いな二人とも」
こっちこっちと手招きされて、マネ二人の足は二口と青根の前に置かれた二つの空席へと向かった。
用意された席に腰を下ろすと、二口はおもむろに机の上に紙を広げた。
その紙を覗き込むと、伊達工祭の出し物について色々と記載されていた。
「うちは場所を決めずに、ゲリラ的にやることになった」
「ステージ発表じゃなかったの?」
滑津の言葉に、二口は大きくため息をついた。
「こいつがな、くじ全部ハズレ引きやがった」
二口の指差した先にいた青根は申し訳なさそうにうなだれる。
仏頂面のまま、しゅんとする青根に対してマネ二人は何も言えなくなった。
「…ゲリラ的に、って具体的にはどういう…?」
がおそるおそる尋ねると、二口が分かりやすいように説明を始めた。
「フラッシュモブ、知ってる?公共の場でいきなりパフォーマンスしだすやつ。あれ真似て、突然踊り始めようかな、と。校内の色んな場所で。」
「へぇ。それはそれで面白いんじゃない?」
「音源の問題と、バレー部って分かるように何か工夫しなきゃなんねぇけどな」
「まぁ、なんとか出来るんじゃないかな?それよりも問題は……」
「「「ダンス」」」
全員、思うところは同じだった。
学祭まで約1ヶ月あるとはいえ、ダンスの練習をする時間は限られている。
それも舞台上ではなく、フラッシュモブの形態でやるのであれば、それに合わせた練習も必要になってくるだろう。
けれど部活の時間を削るわけにもいかない。
春高予選はすぐそこだ。
「今日二人を呼んだのはそこなんだよ。女子って体育で学年ごとにダンス発表やってんじゃん。だから振付の指導とか二人に頼みたいんだよね」
「体育でダンスやるにはやるけど…そんなにうまくないよ?私。ちゃんはどう?」
「うーん、ぼちぼちって感じです……」
「プロみたいにやれとは言わねぇし。俺も振り覚えて教えるけど、なんせ部員多いから。手分けして指導しねぇと間に合わねぇのよ」
こうしてマネージャー二人と、二口によるダンス特訓は幕を開けたのだった。