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ハイキュー!! まとめ

第15章 スモーキー・ブルース/烏養繋心


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「なんだお前、手土産ひとつも無しか」

じいさんは開口一番、不満をあげた。
母ちゃんに持たされた唯一の手土産も、今はどこかの病室に飾られているだろう。
何もなくて悪かったな、と舌を見せてやると、じいさんは全く気が利かんな、と言いながら首を振った。

「まぁいい。それより、見合い相手とはどうだ?」
「…何でそのこと知ってんだ。母ちゃんが話したのか」

いきなり見合いの話を切り出したじいさんを訝し気に見る。
するとじいさんはカッカッと笑いだした。

「俺が繋いだ『縁』なんだ。無下にすんなよ」
「はぁー?!」
「おい、うるせぇぞ繋心。ここは病室だ」

うるせぇもクソもあるかってんだ。
『俺が繋いだ』ってどういう事だ。
さんの事は、じいさんが仕組んだってことなのか?!

モロに顔に出ちまっていたらしい俺の疑問に、じいさんはあっけらかんと答え始める。

「同じ病棟にいる人のお孫さんでな。話を聞けば小さい頃に両親を事故で亡くして、じいさんと2人で暮らしてきたっていうじゃねぇか。そのじいさんが死ぬ前に孫の花嫁姿を見たいって言っててな。俺もひ孫の顔早く見てぇと思ってたとこだし、ちょうどいいなって話になってな」
「はぁ?! ひ孫?!」

ツッコミたいところは色々あったが、じいさんの最後の言葉に思わず声を上げていた。
ひ孫って、おいおい。
なんの冗談だよ。

「ちょっと前に敬三のところにひ孫が生まれたんだけどよ、見舞いに来ちゃあひ孫自慢してくるもんだからな。俺にもひ孫自慢させてくれや、繋心。お前も26だろ?」
「まだ、26だ」

『まだ』の部分を強調して言うと、じいさんはやれやれといった顔で首を振る。

「お前の年の頃には、俺はもう子供がいたぞ」
「そうかよ。…っつっても俺はまだ結婚する気ねーから」

ここ最近で、もう何度この言葉を口にしたか分からない。
さんにも、周囲の人間にも、俺は何度この言葉を吐いただろうか。

口にするたび、自分自身に暗示をかけているような気にもなる。

俺はさんと結婚する気はない。
だから彼女と付き合うつもりもないんだと。

時折ぐらつく気持ちを抑え込むように、気持ちは無い、と口にしているような気もする。
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