第3章 Let me share the love with u.
「それッス!!ほら、学祭の日ってちょうど十一日じゃないッスか!!」
「なるほどな。ポッ●ーの日ってワケな」
二口が言うと、黄金川は嬉しそうに満面の笑みを浮かべてこくこくと頷いた。
自分の意見が採用されるような気がして、黄金川はワクワクして二口の次の言葉を待っていたが、二口は「うーん」と唸って煮え切らない態度だった。
「…ダメっすか?」
「うーん、ダメじゃねぇけど…他の部も考えつきそうだな、と思ってな」
なんせ、この出し物には部の威信がかかっているのだ。
他の部と同じような出来の物では、先輩方に顔向けできない。
鎌先にけなされたくないというのが二口の本音ではあったが。
「ただダンスするだけってのも芸がねぇしなぁ」
渋る二口に黄金川はなおも畳みかける。
「青根先輩が踊るってだけでも見物だと思うんスけど!!」
「黄金川君、その言葉は青根先輩に失礼だよ…!」
作並が平然と言ってのける黄金川を制するも、当の青根は気にしていない風で、二人の後輩に向けて静かに首を振った。
「すんません!!でも青根先輩デッカイから踊ったら超迫力あってインパクトでかいと思ったんです!!」
「分かった、分かったから黄金!ちょっと声のボリューム落とせ!あとお前も青根と同じくデカいからな!一応ツッコんでおくけど」
黄金川には作並や他の部員が思っていたような意図はなかったらしい。
純粋に大きな体の青根が踊れば、観衆の目を引くだろうとしか考えていないようだった。
黄金川の発言に、作並は自分の方が青根に対して失礼な事を考えていたかもしれない、と反省した。
てっきり、いつも仏頂面で強面の青根がポッ●ーダンスを踊れば普段とのギャップに笑いが起きるのでは、なんてことを考えているのだろう、と作並は思っていたのだ。
「いいんじゃないか、ダンス」
「なんか仮装するとかして派手にしてさ」
「踊りながらポッ●ー配って歩くとかは?」
他にいい案が思いつきそうもなかった部員達は、黄金川のアイディアに乗っかるように思い思いのことを口にしだした。
春高予選も控えている今、少しでもバレーの練習がしたかった二口はこの流れに乗ってポッ●ーダンスを出し物にすることに決めた。