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ハイキュー!! まとめ

第12章 星を見る少年/岩泉一


見るともなしにスマホを眺めていると、ふいに肩を叩かれた。
はじめ君だと疑いもせずに笑顔で振り返る。

するとそこには見知らぬ男が2人立っていた。

「ねぇ、良かったらこの後遊ばない?」

ナンパだ。
話には聞いたことがあったけれど、実際声をかけられたのは初めてだった。

どう断るのが正解なのかよく分からないまま、曖昧な笑みを浮かべてしまう。

「あ、いや、知り合いと来てるので。ごめんなさい」

1人でいたから声をかけてきたんだろう。
連れ合いの人がいると分かれば退散してくれるだろう。

そう思ったのに、甘かった。

「そうなんだ。じゃあその知り合いの子も一緒にどう?」

何が『一緒にどう?』なんだ。
ごめんなさい、って言ったじゃない。

そうか、こういう手合いにはハッキリ言わないと駄目なのか。

「いえ、いいです。行きません」
「寂しいこと言わないでよ。もちろん奢るしさ。お茶するだけでいいから」

しつこく食い下がる男に、どうしようか困っていた時、男の背後から低い声が聞こえた。

「おい。俺のツレになんか用か」

男が振り返ると、はじめ君の姿が現れた。
いつにもまして不機嫌そうな顔で、じっと男を見ている。

「ちっ、なんだよ男連れかよ。なら早く言えよ」

不快そうに眉を上げて私を一瞥し、男達は離れて行った。
その後ろ姿にはじめ君が舌打ちをして、私に向き直る。

「……ああ言う時は『彼氏と来てる』って言やぁいいんすよ」
「でも、そんな嘘ついたらはじめ君に悪い気がして……」

はじめ君、高校生だし。
スポーツマンだからきっと学校でもモテるだろうし。
好きな子とか、もしかしたら付き合ってる子とか、いるのかもしれないし。

「……じゃあ、嘘じゃなくて、本当にしませんか」
「……えっ?」

一瞬、言われた意味が分からなくて、思わず聞き返してしまった。
はじめ君はいつになく真剣な目をしている。
顔を、真っ赤にさせて。

「…今日の“流星嵐”、100年に1度あるかないかだってさん言ってましたよね」
「うん…」
「俺、そんな貴重なもの、さんと見れてめちゃくちゃ嬉しかった。100年に1度の流星嵐を一緒に見れたなんて、奇跡みたいに思えた。あんたに出会ったのだって、あの日あんたが流れ星を見てたからだ。星が、俺達を巡り合わせてくれたんじゃねぇかって」
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