第2章 栗より甘い、/青根高伸
それまで饒舌だったの口からはぱったりと言葉が途切れ、何と弁明していいのか困り果てているようだった。
なんとかフォローしてやろうにも、の愚痴を青根はハッキリと聞いてしまっていたし、俺が口を挟むと余計こじれるような気がして躊躇してしまった。
重い沈黙が流れて、しばらくした後、青根がゆっくりと口を開いた。
「……無理して、付き合わなくていい」
それだけ言うと、青根はくるりと踵を返してその場から立ち去ってしまった。
を見ると、今しがた起こったことに頭が追い付かないのか、青根の後ろ姿をただぼうっと見つめていた。
このままでは二人の関係は終わってしまう。
を諫めず、ただ愚痴を聞いていた自分にも責任があるような気がしてくる。
呆然としているの肩をはたいて彼女の正気を取り戻させた。
「おい、追いかけなくていいのかよ?!」
「…っ…!」
目にいっぱい涙をうかべて、は弾かれるように椅子から立ち上がり、青根の後を追いかけて行った。
あの二人の仲がなんとか元通りになりますように、と俺は祈るしかなかった。