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ハイキュー!! まとめ

第7章 走れサンタ!/二口堅治


 二口がとのクリスマスの約束をご破算にしたのを知っていながら、彼女にメールを送った後輩の無神経さに二口は若干腹が立った。

 けれど、そんなことでもなければ今日は彼女に会えなかっただろう。となると黄金川には感謝しなければならない。二口は心の中で「プラマイゼロだな」と結論付けた。

「にろちゃん、ごめん!!」

 マフラーにうずもれていた髪の毛が、ひょっこり飛び出すくらいの勢いで、は頭を下げた。その姿勢を保ったまま、は二口に謝罪を続ける。

「くだらない意地張ってごめん!!せっかくのクリスマスの予定ダメにしてごめん!!……素直になれなくて、ごめん」
「俺こそごめん!!」

 勢いよく下げた二口の頭から、サンタの赤い帽子が落ちた。うっすらと積もった白い雪の上に、真っ赤な帽子が映えている。白と赤のコントラストに目を落としたまま、二口も謝罪の言葉を続ける。

「くだらない意地張ったの、俺の方。今日一人になってようやく分かった。今更、だけど。むちゃくちゃ遅いけど」

 バッと勢いよく顔を上げると、いまにも泣き出しそうなの顔が二口の目に入る。
ぐっとの肩を引き寄せて、二口は自分の気持ちを素直に口に出した。

「俺、すっげーのこと好き! 大好き!!」
「私の方が好きだよ……!!」

 ぎゅっと抱き着いてきたのぬくもりは、冷え切った二口の体を温めてくれた。心臓からぽかぽかした温かさが全身にめぐっていく。かじかんだ手の先まで血が通っていくようで、の頭に顎を乗せて、二口はぎゅっと目をつぶってその感覚を味わった。


 しばらく抱きしめ合っていた二人だったが、ふいに二口が口を開く。

「……いや、俺の方が好きだね」
「……私の方が好きだよ」
「俺」
「私」
「おーれ!」
「わーたーし!」
「……」
「……」

 顔を見合わせて、二人は同時に笑い出した。
そんな二人に、おずおずと声をかけてきた人物がいた。

「ごめん、二口君。お取込み中悪いんだけどね?キミまだバイト中だよ?」
 


「……す、すいません……」

 本日二度目の謝罪。事情を聞いた店長は笑って許してくれたが、二口は恥ずかしさのあまり死にそうになった。

 二口も、クリスマスの熱に浮かされていたようだ。
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