第1章 縁
僕は、縁が太い人達に、より強い縁を繋いだらどうなるのかと昔から不思議に思っていた。
大好きだったデザインと器用さを生かしアクセサリーを作ったのだ。そのアクセサリーとも縁が無ければ出会えない。そしてそのアクセサリーを贈られ身につけた人はどうなるのかと。
何故、アクセサリーかと聞かれれば、アクセサリーは人を縛るのにとても有効だと思ったから。
リングなんてその象徴の様なものだ。左手の薬指にわざわざ自分は結婚しています。なんて宣言しながら身に付けているのだから。リングだけではない。アンクレットだって左足だと、あなたの所有物(恋人、夫婦)なんて意味もある位だ。起源は結構ヒドイけれどね。
それに浮気をする時、ほとんどの人間は、相手から贈られたアクセサリーをつけては来ないか、もしくは外す。縛られている事に気づいているのか、贈られたアクセサリーにその感情や行為を見られたくないからなのかは、わからないけれど。
だから、その太い縁の2人と縁があり出会った縁を縛るアクセサリーで、それらを組み合わせたらどうなるのか、とても気になっていた。
結論から言えば、殆どの人達は笑いながらまた店に来ることが多いし、マリッジリングを作ってもらいたいとオーダーを受けることも多かった。
恋の縁は細いモノと太いモノで人間同士を繋げているのがほとんどで、細いモノは所謂元カレ元カノ等と呼ばれる存在になる相手だったり、叶わぬ初恋の人、なんて扱いのモノなのだ。
僕は僕の興味で、プレゼントを買いに来た人達の縁を見てアドバイスをしたりする時もある。
その後を見られたらラッキーだ位に思いながら
お店を開けて、縁がある人達を見つけては自分の謎を追い続けている。