第1章 縁
僕の仕事は、アクセサリーを作り、それを売る事。
ピアス、イヤリング、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、リングetc……。
デザイン、色、石、チェーンの長さ、留め具の形、金属の種類。僕のお店 Fate には同じ物は無い。1つだけあるとしたら、それは、オーダーメイドで作るペアのモノで、それ以外は同じ物は無いだろうと思う。
絵を描くのが小さい頃から得意で、手先もとても器用だった。アクセサリーに関わらずデザインを考えるのが、昔から大好きだったので、今の仕事は天職かも知れない。
僕はお店を開ける時間も、営業する時間も定休日も決めていない。
気が向いたら開けて、嫌になったら閉める。
【Fate 】とはそういうお店だ。
人と人には縁という繋がりがあると皆言う。
よく言う、「コイツとは腐れ縁だから」とか…
だとすれば、人と物にも縁があると僕は思う。
僕は、僕が作るアクセサリーは出来るだけ縁のある人に身につけてもらいたい。
アクセサリーにだって選ぶ権利があると。
それから、この店Fateには噂話が流れた。
【 ここでとても気に入ったアクセサリーを手に入れてそれを身につけていると幸せになれる。】
だとか、
【 ここで、恋人からアクセサリーをプレゼントされるとずっと一緒にいられる。】
など。
話は変わるが、昔から僕は不思議なモノが見えた。
僕は縁が見える。よく言う赤い糸と呼ばれる類いのものだ。赤い糸とは言うけれど、実際は赤だけではない。
太さも違い、人によっては何本もあり太さでその人の縁が分かる。
太ければ太い程その縁は強力で。細ければ細い程切れやすく、次に見かけると違う恋人と手を繋いで歩いていたりしている。俗に言う縁が切れたと言うやつだろう。
恋人同士だけではなく、友人同士や、その人に恋をしている縁もまた違う形で見える。そしてどの縁も様々な色がついている。