第4章 絶対に言わない。
気が付くと薄暗く、冷たい石畳の上に寝かされていた。
ご丁寧に首輪と両手首をつないで。
薄汚い笑い声がしてそちらを見ると、
いかにも雑魚といった感じの男二人と見る限り幹部クラスの男が立っていた。
幹部クラスらしき男が
「マツノファミリーのカワイイ子ちゃんもずいぶん無防備だね。一人で出歩くなんてさ。それとも、溺愛されてるって情報はガセだったかな?」
あたしは何も言わず、三人を睨みつける。
「別にガセならガセでコイツで稼げそうですぜ~」
「まぁ、それはコイツが役に立たないと分かった時だ。今はコイツに命乞いをしてもらわないとな。」
男たちはビデオカメラを回し始めた。
「ほら、早く言っちまえよ~。助けてお兄ちゃんってよ。」
そう男が言うとバコッとお腹に蹴りを入れられた。
圧迫感で胃の中のものが出そうになるのを口をギュッとむすんで堪えた。それからも煽りや罵りの言葉が続いて、その度に暴力を振るわれた。絶対に言わない。足手まといになるそんな言葉は絶対に。
「あたしをマツノファミリーの誰が助けるっていう訳?拾われっ子でなんの役にも立たないあたしを?まさかボスがとか思っちゃってる?そんな事ある訳ない。考えればわかる事でしょ。」
男たちは頭にきたのか黙れだのうるさいだのと喚き散らし暴力は力を増していった。
意識が飛びそうになる。
「それにあたしは!!絶対に!!ボスには助けを求めない!!」
そう言い終えたときあたしの意識はまた閉ざされた。