第3章 ホットミルクと夢
正直、女に苦労はしたことなど無い。
寄ってくる女は大抵、金が目当てだったろうし
こちらも見栄えのいい女に適当な愛の言葉を囁いて
金で釣って快楽をえるだけ。
俺からすれば女なんてものは一時的な快楽さえ得られれば
それでいいと思っていた。
女から愛されたいなどとも思わなかった。
こんなに醜い生き物からの愛情なんていらない。
邪魔になるだけだ。
そう思いながら生きてきたけれど、
初めて会った時から心奪われていた。
殺すなんて選択肢すら思えなく
この子をどうしたら自分のモノに出来るか…
どうすればこの子の愛情が手に入るのか…
それしか頭にはなかった。
何が原因かは未だにわからないが、ユーリが急によそよそしくなった。
夜も広間には来なくなり、もちろん名前で呼ばれる事も無く、兄さんとも久しく呼ばれていない。
今俺がユーリに呼ばれる名前は ボス だ。
もう家族ですら見られていないのかもしれない。
イライラと絶望に似た感情が押し寄せて自分が溶けてしまいそうで。