第4章 少しの歩み。
カカシが帰宅すると、静まり返る家に驚く。
いつもなら玄関に走ってくる足音が聞こえるが、迎えの音も無く一人は居る。
名前を呼びながら茶の間に行くと、誰も居なく明かりもついていなかった。
の部屋の戸を躊躇いがちに開けると、イタチの膝の上で眠る。
紅は壁によりかかり隣で寝ていた。
と紅の腰には毛布がかけられているのを見て随分とそのまま寝ていることが解る。
だが、何故そうなって居るのかはわからない。
どういうこと?
獣の耳と、尻尾がついてる。
初めて見る。
「えぇ、全く状況が理解できないんだけど…どういうこと……?」
ぴくりと耳を動かし、イタチの膝からむくりと起き上がる。
キョロキョロと辺りを見て毛布を肩にかけ、イタチを見上げていた。嬉しそうに少し頬を赤くして目を細めていた。
音を立てずイタチの頬に触れようとしているのを見て咄嗟に声が出た。
「、ただいま」
慌てたように振りかえると、腕時計を確認して真っ青な顔で目の前に立つ。
「も、申し訳御座いません、私あの、お出迎えも夕食の支度も、お風呂もまだ用意出来ておらずで、す、すみません、今すぐに用意いたしますので」
泣きそうな顔をして怯えている。
「大丈夫だよ」
「すみません」
駆けて行くのを見て苦しく胸を締め付ける。
イタチとどういう関係なの?
そう聞けば答えてくれただろう。
そっと部屋に入り、イタチに毛布をかけて部屋を後にする。
彼女にとって自分がどういう存在か理解した気がした。
使用人と主のようなものだと思われているんだろう。見世と変わらない。
彼女は俺が怖いのだから。