第3章 怖いほど。
「?」
「そのうちお前も変われるよ」
「そうだといいですね」
白い髪の毛が指や手に絡む感覚。
絹のような指通りにゾッとする。
なにより美しいと思わせるこの髪の毛。
「そんなに見つめられると…恥ずかしいです…」
手をタオルで拭きながら俯く姿がなんともいじらしく、ごくりと生唾を飲み込む。
「、部屋を一緒にしようか」
は言葉を失ったかのように口を開けて目を丸くしていた。
夫婦でしょ?とつけると少し考えて、視線を泳がせていた。
何をそんなに考えることがあるんだろうと思っていると、何故か狼の姿になり、逃げ出そうとしているのをとっ捕まえる。
「や、や…です!お、お部屋いっぱいありますし、も、もったいないですから」
「なんでその姿になって逃げる必要があるのさ」
「ほ、本能的になにかいやな予感がしてですね」
「まだ、しないよ。それより返事聞かせて」
を抱き抱えるとぽんっと元の姿に戻る。
唇に当たる胸。
圧倒的な乳。
前言撤回をしようか迷ってると止めを差してくる。
「そ、それなら、や、約束してくださいねっな、なにも、しないって」
「えー?夫婦なのに?」
「ひぃっ、あの、ま、だ、心の準備ができてませんので…お許し下さいませ」
泣きそうな顔をする奥様の胸に顔をうずめて仕方ないねと言えば、そっと頭を撫でられる。
その指が心地よくて、もう少しこのままでもいいかなと思っていると、耳元で囁かれる。
「旦那様、わたしご用意をしてきます」
「俺も手伝うよ」
「い、いえすぐ済みますからお待ちください」
すとんと下ろすとたったったと走り去る。
脱兎のごとく逃げた奥様を見てクスッと笑ってしまう。
お茶を用意しようと台所に立つがお茶っ葉を探しまくる。
どこに閉まっているんだ?
茶箪笥にないのか?
戸棚の上にはないようだし。
うーんと唸り考えているとが顔を出す。珍しく髪は乱れていた。
「あら、何かお探しですか?」
「うーん。お茶っ葉をね」
はそれならここに、とちゃぶ台の上からひょいと手にしていた。
「こちらではなく……?」
「あーそこにあったのか」
「ふふ」
はクスクスと笑う。