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【NARUTO】人狼といっしょ。

第2章 愛してもらいたかった。



山中筆頭に、解析がはじまった。

何もかもが晒されるだけだった。
この五年間、は怯えながら泣いていただけという酷いものに相談役は絶句していた。

愛されるために、どんな努力もしていた。

好かれ愛されやっと手に入れた外の世界は旦那様により容易く壊され、見世物小屋で全てを失った。
『お前は、この店の看板犬だよ、ほんと』
店主の繰り返される言葉。
『いぬ、じゃない』
『わたし、は』
『いぬ、なの、?』
『そう、いぬなの』
『わたしは、遊んでもらういぬなの』
涙は流さなかった。
悲しみもほほえみもしなかった。
犬に成り下がっていた。
「紅、洗ってやれよ」
「アスマに洗ってもらいなさい」
「くぅん…ふん」
「ほーら、行くぞ」
「くぅぉぉん」
「そんないやがんな!」
「ふふ、綺麗にしてもらうのよ」
ほんのり温まる。
『いぬってしあわせなのね』
その言葉が響き術を解く。





は牢屋でぐったりと眠るだけ。御飯も手を付けず一度も人の姿に戻らない。

いや、戻れなくなっていた。

「」
死んだように眠る。
夜になると部屋の隅に座り出入り口を見つめる。
誰かを待ちわびているようだった。
半年が過ぎ、ご飯も食べるようになり鎖に繋がれ地上に出た。
カカシは見物に行くと、まるで犬のような仕草ばかりが目に入った。
ボールで遊び、尻尾をふる。
リードを引っ張り、はやくはやくと走る。
犬の餌をもらい、美味しそうに食べる姿をみて頭痛がした。
「例の人狼?犬みたいで可愛いね」
リンの言葉にぞわりとした。
人狼なんかじゃない。
あれは、ただの。
犬だ。
人間の愛玩動物。
『おかえりなさいませ、お夕食の支度は整っておりますが、お風呂になさいますか?』
身なりを整え出迎えるばかりが目に浮かぶ。
ほっとしていた。
不快だった。
無邪気な優しさが。


「違うよ、俺の奥さんなんだよ。あの子」


苦しみなど知らないような顔をして。
「わおぅん!」
「あはは、こらこら、はしゃぐな」
「クゥゥン!」


幸せかどうかなんて考えないのはどれだけ幸せなんだろうね。

翌日から狼を飼い始める。
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