第15章 初心者夫婦、初心者親子。
「飛翔」
その名前をつけたのは父だった。
は数回呟き笑顔を見せていた。
笑顔を見せて振りまく腕の中の赤子。
愛おしくて、口付けた。
「あっという間に大きくなってくれるなよ」
少しずつでいい。
もっと、俺やを悩ませて一緒に、家族になろう。
焦らなくて構わない。
ぴとり、と飛翔の手が頬に触れて満足げに微笑むから胸が満たされる感覚を覚えた。
「みてよ、このご機嫌君」
「はい、旦那様に会えて嬉しいのですよ」
はふふふと、母親の顔をして微笑んでいたから驚いた。
ほら、置いてかれている。
「はぁ⋯仕事に戻りたくない⋯」
「お前な⋯」
「だって俺まだ、新米父さんだって言うのに⋯ねぇ~」
はせっせかと台所に立つと、何かを火にかけはじめる。
「さっきオビトさんが食べたいと言っていたので作ったのですよ、食べていかれますよね?」
「うん、食べるよ。」
グリグリとオビトの足を踏みつける。
何勝手にリクエストしてるわけ?
俺だってしたことないのに。
が納戸に走ると、何故か赤子が泣き始める。
戻ってくると、きゃぁっきゃと、笑顔になる飛翔。
目も見えてないはずなのに何故⋯。
「いつもだよ、は気づいてないけどな、だから四六時中飛翔とずっと一緒にいるんだよ」
「⋯赤ちゃんだからね」
「俺はこいつが分かっててやってる気がする時あるけどねぇ」
「⋯例えば?」
イタチが来ると泣いてみたり、二人で話していると毛布を齧ってみたり、ダンゾウ様が来た時はずっと泣き叫んでいたらしいし。
と言うオビト。
「⋯まぐれでしょ」
「⋯お前との子だからな」
焼餅焼きなんだろ、と呟くとオビト。
「あーあ、かわいい飛翔でいてくれよ、カカシやみたいに急ぐ事はねぇよ」
満点笑顔の飛翔。
が混乱し不安になる訳だ。