第15章 初心者夫婦、初心者親子。
「あ、飛翔うんこしたな」
「⋯お前勘良すぎだよ」
オムツはここにストックあって、こーすんだよ、とオビト先生から学ぶ。
泣きもせず大人しいもんだなと感心して気がつく、リンが言っていたのはこういうところか?
ふんわり、香ってきたうどんの香りに、顔を上げる。はなれた手つきでてきぱきと動くのを見てにやけてしまう。
多分一生分の奇跡を使った気がする。
にやけ顔をマスクの下に隠しながら見つめる。雑にあやしていたからなのか指に痛みを感じ声を上げる。
「えっ!、飛翔⋯歯が」
「ええ、八重歯だけですが⋯小さく」
「痛いよ、飛翔」
鬼子だー!と誰も騒がなかったのは彼の部下達が診てくれていたから。
『歯?検査はしときますけど、カカシ先生の子供ならそんくらい不思議があっても驚けませんって』
サクラはケラケラ笑っていたがは首を傾げるだけだった。その話をすると、オビトさんは大笑いし、カカシは頬をかいていた。
ちらりと視線の先には飛翔。
指を噛み噛みとして、にかっと笑ってみせる。
「本当可愛いなぁ⋯飛翔」
撫で撫でと頭を撫でると嬉しそうにしていた。
「人狼の赤ん坊ってこー耳とか尻尾とか生えてるもんだと思ったけど、案外普通だよな」
「体調が優れないと、恐らくは⋯」
断言できないのは、自分は人狼と人狼の子供であって、人狼と人間の間の子供を知らないから。
このまま普通に人のことして育てばいいんですけどねと、零しながらテーブルに並べられるうどんを見てお腹がグゥと鳴る。
この子のご飯を前に我慢出来なくなってしまう。
仕事しているとこれ程まで体がお腹を減ったと言うことはないが、のそばに居ると真人間になってしまうからおかしい。
「お、俺の分もあんのか!」
「勿論ですよ」
「オビト食べ過ぎでしょ」
「黙ってても腹は減るんだよ」
俺の隣に座るは頬を赤くしていた。
「?もしかして⋯」
ぴとっ。
額に手を当てる。