第1章 泣き虫な子。
のはらリン。
普通の女の人で、旦那様の特別な女性だった。
大切にされてるのだと、解った。
『あら、貴女は確か…カカシに道を聞いていた人ですよね?また、迷子ですか?』
『…ぁ、え、えぇ、そうなんです』
『今日はどちらまでですか?』
『リン!何してんだよ、時間に…』
旦那様が迎えに来たのはリンさんだった。
『この間はどうも、お世話になりました。』
『ぁ、あぁ』
『また迷ってるみたいなの、私送ってから行くね』
旦那様が困った顔を見せたから。
『あら、私は急ぎではないので自分でゆっくりと散歩しながら探しますので、どうぞ』
『カカシ!気を使わせちゃったでしょ!いいんです!ちょっとぐらいでしたら!』
『本当に、大丈夫ですよ、帰り道は解るのでご心配なく、これでも勘はいい方なので本当に、申し訳ございません足止めしてしまって』
『えぇ、そんな、気にしないで下さい!では…道中気をつけて下さいね?』
『はい、ありがとうございます』
立ち去るのはらリン。
ギロリと睨み、立ち去るはたけカカシ。
いつも、苦しかったのかもしれない。
「本当に本物なのか?」
下品な笑い声。店主の愛想笑いが聴こえる。
ぽちゃんとまた、落ちていく思い出に目を閉じる。
ダンゾウ様のそばに行きたいです。
浅黒い天井と、男の息遣い、子宮の痛みに声が出る。それを興奮の足しにした男に激しく突かれる。
初めての日、怖くて痛くて泣きじゃくった。
誰も助けてはくれなかった。
髪を染めるときの様に、黒く塗られる感覚が身体中で感じた。
今はもう何も思わない。
ただ、されるがまま。
忍びなんてめったに来ない、来たところでとも思う。
旦那様が助けに来てくれると思った初日が遠いい日に思えた。
ふと、窓の外にめをやるとプレゼントを抱えた女の人が行き交う。あぁ、そうか、今日はクリスマスか。
今年のクリスマスもさんたさんは来てはくれなかった。
来年も生きていたら、サンタさんを待ってみよう。