第1章 泣き虫な子。
違法営業と言われ解体された店。
私は、あの女の人に抱きかかえられていた。
忍に売られるなんて、拷問よ、あの店と変わらないわ、この子と逃げなきゃ逃げなきゃと何度か言っていた。
人の姿を保てなくなり、私は週に何度も狼の姿になっていた。
彼女は私を抱え裸足で走っていた。
宛があるのだろうか?なんて思う間もなく私の意識は飛んでしまう。
ぽかぽかと温かい温もりとか細い話し声がじわりじわりと耳に入る。
「だから、ぁ、、おはよう」
くぅんと鳴くと頭をぽんぽんとされる。
彼女のそばに行こうと立ち上がるが立てなかった。
「、無理しないで、ここは安全だからね」
「へぇ〜こいつが」
「まって、!無理に立とうとしたらっ」
倒れるを抱き抱える。
「後でお風呂、入れてあげるわね」
綺麗な瞳、綺麗な黒髪。
は頷くと黙って抱かさっていた。
「紅、それ犬じゃねぇだろ」
「え?」
「狼だ」
紅という女性は目を丸くしてをみつめた。
「嘘っそうなの?」
なぁ?と男の人がに触れようと手を伸ばすが、牙を見せる。
「おっと、どうやら俺は嫌われているらしいな」
「、彼は大丈夫、大丈夫なのよ」
止まぬ唸り声。
お風呂行ってくるわと、男に背向くとするりと紅の腕を抜け男の腕に噛み付く。
反射的に叩かれ弾き飛ぶと、ベッドの上で跳ね窓枠に体をぶつける。
「、?……!」