第12章 やっぱり。
ぼろぼろに泣きじゃくるを見て頭痛がする。泣きたいのは俺だって、俺だって。
座り込み涙がこみ上げる。
名前を呼ぶだけで、幸せになれるほど浮き足立っていた。
「結局二人一緒に幸せになるなんて無理なんだろうね」
あの縁側でを眺めている時間がどれだけ幸せか、続けばいいと続くはずだと思ったか、君は知らない。
知るわけがない。
愛おしくて愛おしくて、子供のように好きや愛してるを繰り返していた。
知るわけがない、君は⋯
待っていてくれなかった。
ただ一つ。
ただ一つの願い。
死なない事を選んで、一緒に居ることを選んではくれなかった。
「ごめんね、。」
泣きじゃくるの頭を撫でるとビクリとして目を開ける。綺麗な金色。
「もう、夢から覚める時間だったんだろうね、俺はそれに気が付かなかったんだ」
夢は夢でしかなかった。
「夢を見ていた、君の一番になる夢を⋯夢だった君と同じく幸せになる夢を⋯あぁ、夢を見ていたんだよ」
酷くしてごめんね、嫌って恨んでくれてもう構わない。
「約束は全部なくなっちゃったんだからね、愛していたよ、俺の奥さん」
もう、会わないでおこうね。
もう、君は自由になるんだね。
わけもわからなかった。
何をされているのかも分からなかった。
ただ、こみ上げる良く分からない感覚と、汗ばんで悲しげにする男の顔。
孕んでね、と繰り返し良く分からない言葉を何度も浴びせられ、痺れる様なその言葉とも違う感覚だけが身体を支配した。
男が泣いていて、それを視線だけで見ていた。
頭を撫でられビクリとして、目を開けると、涙をいっぱい溜めていて胸が詰まる。
私の方が良く分からなくて怖いのに。
良く分からない言葉を連ねていた。
そろりと、髪の毛を一束手にして口を寄せていた。
「約束は全部なくなっちゃったんだからね、愛していたよ、俺の奥さん」
奥さん、?
夢?
ゆめ?
おく、さん?
私はその男が立ち去ってすぐに任務に走った。
自らの身体が赤く染まるのを感じながら行き場のない感情を吐き出した。