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【NARUTO】人狼といっしょ。

第1章 泣き虫な子。


「も、申し訳ございません」
「はぁ、酔いが冷めた」
「本当に、申し訳……ございません」
「もういいよ、その言葉聞き飽きたから」
「っ!」
頭を深々下げて、部屋に戻る。
大失態だ。
あぁ、大失態をしてしまった。
長く揺れる髪の毛を見て空のようだなとダンゾウ様が褒めてくれたから、嬉しかった、胸が爆発しそうなぐらい嬉しかった。
ハサミを手に、一房手にする。
ザサッと言う音に、何かが鍵をかけていく気がした。
何度も何度も最後の髪が落ちるのを見て、涙に鍵をかける。
鋏と共に仕舞い込んでいた写真を眺める。
笑顔のと無表情のダンゾウ。
その下の引き出しを引っ張り、そっと手に刷る。
嫌悪する。
「綺麗だと褒めてくれたから…手を付けたくなかったのですよ」
かつらも我慢した、煩わしいと思ってもつけていた。
切らなくてもいいと言われたから。
黒く黒く髪の毛を撫でるハケ。
「嬉しかったな……」
「髪、染めるの」
「はい、これでご迷惑も減るでしょう」
「ふぅん」
「さっきの様に御見苦しい事になりませんから」
「…………」
「…幼い頃、伸びた髪も藤色だったんですよ」
「へぇ」
「成長をするに連れ、白髪になってしまって悲しかったんです。そしたら、主が仰ったんですよ。空の様な髪だと、地下しか知らない私にとって何よりも……希望ある言葉でした」
「それを俺に聞かせて罪悪感を植えつけたかったの?なら、失敗だね。」
「そうですね、悪いのは浮かれた私ですから」
黒く染まる髪の毛が鏡に映る、白銀の髪の男は不機嫌そうに眺めていた。
「何もしませんし何も出来ませんよ。」
「解らないだろそんなの」
「解っているのでしょう、ずっと前から。それに、安心してください。」
黒く光る髪の毛。
地下室を思い出す。
「人殺しはどんな世も求められますから、明日から私と貴方は他人です。」
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