第1章 泣き虫な子。
手を引っ張られ家の中に案内される。
「夕食食べていって下さいな!そこの、弟さんと」
木陰がから顔を出す弟にイタチは手招きをする。は手洗いが先ですよと言っていた。
夕食のオムライスをぺろりと食べる姿に満足する。二人を見送り、少しの寂しさを胸にひとりぼっちには広すぎる家に戻る。
ーーー兄弟とはあんなものなのかな?
思い出し心が、暖かくなる。
「さてお風呂の仕度しましょう!」
浴槽を洗い、お湯を半分より下ぐらいにはる。
少し温めのお湯。
服を脱いで、かつらをとって、耳飾りをとって。
すてすてと浴槽につかる。
「今日は、浴槽につかっちゃいました……えへへ」
初めてこの家で浴槽に入る。
「髪の毛も煩わしいですし、ほんとにもうもう!」
でも、暖かいお湯は心地よく心に染みる。
今日も本当に楽しかった。そう思えるのが幸せだった。
ピーンポーン。
その音にハッとし、お風呂を上がり着流しを適当に纏い玄関に走る。ぽたぽたと垂れる雫が煩わしい。
「さーんーあけてーカカシ潰れちゃって」
「んぁ?げんまぁうるさいよお前」
「はぁ、さみーからはやくー」
真っ青になるのを感じながら、玄関ドアを開ける。
「ご、ごめんなさい、お待たせしました!」
ゲンマが固まる。
「え、?」
「んぁーー?」
「へ?」
ゲンマの肩からゆらりと、離れる。
「どーいうこと?その格好」
瞳が酷く凍てついていた。
は自分の姿を見て、髪の毛が、目に入る。