第2章 君との距離感
放課後、入部届を提出し終えたので、このまま学校に居ても仕方ないので帰ろうと下駄箱に向かうと、蛍とグッチーがいた。
今日朝機嫌悪くさせてから会話してないけど、一緒に帰ってくれるかな…?
「蛍…グッチー…その、一緒に帰ってもいい…?」
恐る恐る蛍の顔を覗きこむと無表情のまま
「好きにすればいいデショ。」
「俺もいいよ!」
グッチーは笑顔で言ってくれた。
「蛍!!!ありがとう!!!」
つい嬉しくて大きな声が出てしまったら
「由佳…うるさい…。」
名前…名前を呼んでくれた。たったそれだけでも嬉しくて。
だけどそれを口に出したら壊れちゃいそうだから、あたしはそっと心に閉まっておいた。
一緒に駅まで向かっていると、グッチーから質問された。
「ねぇ、由佳ちゃんは、好きなアーティストとかいるの?」
「えっと、有名なバンドだとAnge déchuかなぁ~。」
「Ange déchuってアンデって略されてるバンドだよね?モンスターバンドって言われるくらい有名だよね。」
「そそ!声が綺麗だし、言葉も抽象的でキレイなの。あとは、heathってバンドが好きかな~。言葉の選び方がすごいんだよ!あんまり知ってる人いないんだけど…」
「ひーす?聞いたことないなぁ。どんな曲が多いの?」
「恋愛系だよ。だけど、ほとんどの曲がハッピーエンドにはならない。」
「え…?蛍知ってるの?」
「なに?知ってたらいけないワケ?」
「いや、知ってる人あんまりいないからびっくりしただけ!」
「さすがツッキーだね!」
「山口うるさい」