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【WJ】短編 -2-

第14章 【甘】この災難を彼女は〝運命〟と呼ぶ/相澤消太


「覚えてますか?私が昔先生に言った事。」


 雄英を卒業し、一般企業に勤め数年。学生時代と変わらず、少し幼さの残る笑顔を浮かべる逢崎が俺に聞いたそれは恐らくあの日の事だろう。


「もし、相澤先生が昔の自分に何か伝えられるとしたら、また同じ事を伝えたいって思います?」


 あの頃は逢崎の行動に心労が無かったとは言い難い。マイクからの妙な冷やかしもめんどくさかった。あの頃はどうすれば逢崎が俺を諦めてくれるかと考えたりもしたが、いつからか逢崎を助けたのが、あの日あの場所に居合わせたマイクでなく、俺で良かったと思えるようになった。そう思うとやはり逢崎を諦めさせるにはと考えた時間は結果として無駄になったワケだが、決して不合理な時間であったとは思えない。


「あの言葉が無くたって遅かれ早かれお前の執拗さには観念しざる終えなかったな。」
「相澤先生、それ、何気に酷い。」
「事実だろう。」


 災難だ何だと言いながら、俺はそれを受け入れた。


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